ワイルド・スワンを読んで中国人の爆買いを理解する
出口治朗さんの推薦本のワイルドスワンを読了したので、備忘録的にレビューを書きます。
ワイルドスワンとは・・・
原板のタイトルは、Wild Swans: Three Daughters of China
・1991に発表された世界的なベストセラー(1000万部を超える)
・中国人女性作家 ユン・チアンの家族三代にわたる自伝的ノンフィクション
・激動の中国近代史を背景に、清朝末期の祖母の誕生からユン・チアンの1978年のイギリス留学までの一族の苦難の歴史を冷静な目でとらえた傑作。
・文化大革命の混乱と狂気なかに青春を過ごし一族への迫害に耐え毛沢東の真実の姿に目覚めていく自分自身を描いている
以下、「2007年新版によせて」から引用
初めて明かされる『ワイルド・スワン』誕生秘話
母は何ヵ月にもわたって毎日毎日話しつづけました。祖母が軍閥将軍の愛妾だったこと、母が15歳で共産党の地下活動に加わったこと。母も祖母も、戦争や外国の侵略や革命や全体主義の暴政に翻弄されて波乱の歳月を生きてきたことを知りました。歴史の渦にもまれながら、母や祖母が命がけの恋をしたことも知りました。
共産党時代は、「労働」「農民」「清貧」こそが尊いと”強制的に”教育されていた
共産党が勢いをつけていった時代には、
「労働」こそが尊い、「農民」が国の中心
という思想が是とされている様子が書かれていました。
妊娠していても、出産直前まで田畑で働き、
産気づいたら木陰で出産、自らへその緒を切り、
赤ん坊を預けたら、また野良仕事を続行…
これこそが国民の鑑!と共産党 党員が話しています。
その思想に従わない人間は、拘留所に長期間拘束され、
危険思想を持つ国民として「有罪」判定を受けると、
処刑されたり、
きつい肉体労働の作業所送りにされたり、
という処遇を受けていた生々しい記述がたくさん書かれています。
そして、今。中国人は、「富」や「自由」に目覚めた。「素敵なもの」や「価値のある価格の高いもの」を知人・友人に見せて優越感を感じたいから『爆買い』をしているのではないか。
東京では、観光バスで銀座に乗り付け、デパートや量販店で抱えきれないほどの買い物をする中国人がニュースで報道されています。
彼らの買い物の仕方を見ていると、
「”タイガー”の炊飯器ください」
「”象印”のステンレスボトルください」
とブランド指定で買っているようです。
高くても価値のあるもの、”ブランドのはっきりわかるもの”を買い、帰国したら他人に「いいな」と思ってもらいたいがためにそのような買い物をしているのではないかと思うようになりました。
これまで抑圧されてきた「富」や「豊かさ」への憧れが一気に爆発、ヨーイドンでみんな一斉にスタートしている感じ。
走り始めた中国の人たちは次はどこに向かうのだろう。
中国株は下落しているし、不動産もバブルが崩壊しているとか。
暗黒の文化大革命のような社会に戻らないといいけれど…